ツンドクスタッフが『イン・ザ・メガチャーチ』を読みました

ツンドクスタッフが『イン・ザ・メガチャーチ』を読みました

推し活の功罪を描く朝井リョウの話題作。「好き」があってもなくても、それでいい

るこ
るこ

こんにちは、ツンドクスタッフのるこです。朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』ついに読み終わりました!!

イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチ

朝井リョウ

日経BP 日本経済新聞出版|定価 ¥2,200|444ページ

沈みゆく列島で、"界隈"は沸騰する――。あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす"物語"の功罪を炙り出す。 「神がいないこの国で人を操るには、"物語"を使うのが一番いいんですよ」

これ、今ものすごく話題ですよね。4月に発表される本屋大賞にもノミネートされているのももちろんなんですが、私が 「話題になっている…!」 と強く実感したのは 「本好き」 の間だけじゃない盛り上がりを感じたからなんです。お笑い芸人さんがラジオで絶賛していたり、普段本を読まない友達から 「あの本、気になってるんだよね」 って言われたり…。この 「本好きを超えて届いてる感」 は、あの『成瀬は天下を取りにいく』以来かもと感じています。

単行本で450ページ超えのなかなかの分厚さですが、一気に読み終わってしまいました。


「推し活」を冷笑する視点と、運営側の視点がある!

物語の軸になるのは、40代の 「洋楽好き」 なお父さんと、その娘さん。二人とも、今どきの推し活でよく見るアクスタをカフェで並べて写真を撮る文化を冷笑的な目で見ているんです。

ただそうやって今の推し活の文化を切り取って終わりかな、と思っていたのですがこの小説が面白いのはそこだけじゃありません。アイドルを運営する側の視点がめちゃくちゃリアルなんです。

  • 今は歌やダンスが上手いだけじゃダメ。
  • 「昔は内気だったけど、夢のために変わろうとしている」 みたいなバックボーン(物語)が必要。
  • ファンはそこに自分を重ねて 「信者」 のようになっていく。

本の中にはMBTIの話も出てきます。 「私も推しと同じタイプだから、生きづらさがわかる!」 と共感するファンの心理がとってもリアルです。


私の「推し活」は本を読むこと。でも、偉いこと?

この本を読み終わって、自分の「推し」ってなんだろう?って考えました。私は月に60冊本を読みます。初対面の人にそのことを言うと「素敵だね」「偉いね」って褒められることが多いんです。

でも、一方でそのセリフの後に「うちの息子はゲームばかりで」「アニメにのめり込んでて困る」と言われることが多くて。これってめちゃくちゃ不思議じゃないですか??

本に1〜2万円使うのは「素敵」で、ゲームやアイドルに同じ熱量やお金を使うのは「冷笑」される。

何にのめり込むかは人それぞれだし、本質的には同じはず。私にとってはたまたま「心地よい居場所」が本だっただけで、誰かがゲームやアイドルに救われているなら、それはそれでいいのでは?と思ってしまいました。


「好き」があってもなくても、どっちもあり。

最近の世の中って「何かにのめり込んでいる方が幸せ」「推しがいる方が人生充実してる」という空気が強い気も同時に感じました。

でも、この作品を読んで改めて思ったのは、「別に何かにのめり込まなくたって、毎日楽しく生きていればそれでいいじゃん」ということ。趣味がなくても、何かに熱狂できなくても、それはそれで一つの幸せの形。

『イン・ザ・メガチャーチ』は、推し活をしている人にも、それを冷ややかに見ている人にも、そして「特にやりたいことがない」と感じている人にも、何かしら刺さる部分がある一冊だと思います!

るこ

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るこ

文学とお笑いと労働。かんがえることを諦めたくない✌🏻

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